白い女の赤い鍵(仮決定) 1−1
2004年7月2日 小説季節は夏。
しかし、夏といっても早朝はまだ涼しい。林の中を歩いていると、太陽の光もさえぎられて少し肌寒いくらいだ。
少年、金井直人は、小学生の夏休みの日課とも言えるラジオ体操に向かっていた。
心地よい暑さの中、寝ぼけた頭を風に当てて、友達と会う前に意識をしっかりしようとしている。
ラジオ体操は直人達の会議場であった。小学生にとっては終わりなどないかのように長く感じる夏休み。その1日1日をどう使うかを、朝一番に話し合って決めるのだ。
少し寝坊気味だったので、軽く走ると汗が滲んできた。
風が吹けば、その汗が冷えて、また涼しくなる。
ラジオ体操の会場はこの林を抜けた先にあった。
林を抜けてすぐにあるのは、この町で一番大きい通りにでる。
一番大きい、といっても、この町自体がど田舎で、村の間違いじゃないか、というくらいである。
そんな町の大通り。たまに車が通るくらいのものである。
そして、この大通りが、少しにぎわっている町とをつなぐ唯一の通りでもある。
どこかに行くにも、この町へやってくるにしても、この通りを通るしかないのであった。
ラジオ体操会場に既に人が集まってるのが見えてきた。
「やべぇ、遅刻だ!」
直人は急いで林から飛び出した。
車の音はしない。人通りも朝だから少ないからぶつかるはずなんてないと思っていた。
ドンッ
ありえないことが起こった。誰かにあたったのだ。
「え、あ、ごめんなさい・・」
普段では考えられないようなことに戸惑いながらも、とりあえず謝る。
ぶつかった相手は女性だった。いや、少女かもしれない。
大人のような子どものような、はっきり区別のできない顔だった。少なくとも、直人よりは年上だろう。
白い帽子に白いワンピース、靴も白。肌までもが透き通るような白だった。それは、まるで天使のようだ、と直人は思ったが、小学6年生にもなってその妄想は恥ずかしいと思い、頭をふって妄想を飛ばした。
「いった・・・・気をつけなさいよ!」
頭を振る必要はなかった。その女性に怒鳴られたのだ。一気に眠気は醒めた。
「ご、ごめんなさい!!」
不意に怖くなった直人は、とにかくみんなのいるところへ行こうと駆け出した。
「直人くん・・だよね?」
「・・・え?」
突然名前を呼ばれて止まってしまった。
(なんで名前知ってるんだろう・・)
直人は夏休みに入る前に先生が、夏休みは不審者が出やすい、と
言っていたのを思い出した。
しかし、女の人の不審者がいるとは思わなかった。
「さ、さようなら!!」
怖くなった直人はラジオ体操の会場まで一気に駆け出した。
「また後で・・」
その白い女性は、立ち上がって、汚れをはらった。
そして、直人がやってきた林の方へと進んでいった。
――――――
・金井直人
本編の主人公。小学6年生。
しかし、夏といっても早朝はまだ涼しい。林の中を歩いていると、太陽の光もさえぎられて少し肌寒いくらいだ。
少年、金井直人は、小学生の夏休みの日課とも言えるラジオ体操に向かっていた。
心地よい暑さの中、寝ぼけた頭を風に当てて、友達と会う前に意識をしっかりしようとしている。
ラジオ体操は直人達の会議場であった。小学生にとっては終わりなどないかのように長く感じる夏休み。その1日1日をどう使うかを、朝一番に話し合って決めるのだ。
少し寝坊気味だったので、軽く走ると汗が滲んできた。
風が吹けば、その汗が冷えて、また涼しくなる。
ラジオ体操の会場はこの林を抜けた先にあった。
林を抜けてすぐにあるのは、この町で一番大きい通りにでる。
一番大きい、といっても、この町自体がど田舎で、村の間違いじゃないか、というくらいである。
そんな町の大通り。たまに車が通るくらいのものである。
そして、この大通りが、少しにぎわっている町とをつなぐ唯一の通りでもある。
どこかに行くにも、この町へやってくるにしても、この通りを通るしかないのであった。
ラジオ体操会場に既に人が集まってるのが見えてきた。
「やべぇ、遅刻だ!」
直人は急いで林から飛び出した。
車の音はしない。人通りも朝だから少ないからぶつかるはずなんてないと思っていた。
ドンッ
ありえないことが起こった。誰かにあたったのだ。
「え、あ、ごめんなさい・・」
普段では考えられないようなことに戸惑いながらも、とりあえず謝る。
ぶつかった相手は女性だった。いや、少女かもしれない。
大人のような子どものような、はっきり区別のできない顔だった。少なくとも、直人よりは年上だろう。
白い帽子に白いワンピース、靴も白。肌までもが透き通るような白だった。それは、まるで天使のようだ、と直人は思ったが、小学6年生にもなってその妄想は恥ずかしいと思い、頭をふって妄想を飛ばした。
「いった・・・・気をつけなさいよ!」
頭を振る必要はなかった。その女性に怒鳴られたのだ。一気に眠気は醒めた。
「ご、ごめんなさい!!」
不意に怖くなった直人は、とにかくみんなのいるところへ行こうと駆け出した。
「直人くん・・だよね?」
「・・・え?」
突然名前を呼ばれて止まってしまった。
(なんで名前知ってるんだろう・・)
直人は夏休みに入る前に先生が、夏休みは不審者が出やすい、と
言っていたのを思い出した。
しかし、女の人の不審者がいるとは思わなかった。
「さ、さようなら!!」
怖くなった直人はラジオ体操の会場まで一気に駆け出した。
「また後で・・」
その白い女性は、立ち上がって、汚れをはらった。
そして、直人がやってきた林の方へと進んでいった。
――――――
・金井直人
本編の主人公。小学6年生。
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